日本の四季の自然を写しとった器

月や山、海、雪。刻一刻と変化して同じ表情を見せることのない自然の風景は、人の心をどれだけ癒してきたでしょう。香港で作陶しながらも、そのコレクションは日本の四季の情景を写したもの。陶芸家グレース・トン（Grace Tong）のイマジネーションが旅をし、感じとった風景を豊かな色彩と造形で表現した「HIUCHI（ヒウチ）」のコレクションは、私たちの心の中にある記憶を呼び起こし、自然とともに生きていることに気づかせてくれます。

香港で作陶する陶芸家、グレースが2015年に設立した「HIUCHI」は、絵画芸術と陶芸文化の融合を目指したブランド。パリやニューヨークでジュエリーデザイナーとして活躍していたグレースが培った色彩への深い造詣が生み出す、釉薬の美しさに注目が集まっています。「都市においても自然との調和により、より豊かに暮らしてほしい」というコンセプトでつくられるコレクションは、その色や質感、有機的なフォルムにも日本の陶芸に通じるものがあります。
フラワーベースギャラリーでは、国内ではまだ巡り会うことの少ない「HIUCHI」の取り扱いを開始。2023年春にSpring &Summerコレクション、2023年秋にAutumn &Winterコレクションを展開します。

移り気な春の自然を思わせる、透明、白、ブルー、ニュアンスあるパステル。Springコレクションは、雪と氷がゆっくりと溶け、桜の花が咲く、生命力あふれる春の息吹を釉薬の色で表現。その優雅な幻想的なムードを日々の食卓やインテリアに取り入れれば、気持ちも華やぎ、似合う花を見つける楽しさも味わえます。

風に乗って雪のように散りゆく桜——春の情景に着想を得た「桜吹雪」は、やわらかなピンクをキートーンに、上部はマットホワイト、オレンジ、ピンクの釉薬で雪や霜のような冬の冷たさを残しつつ、下部は淡いピンクのアイスクラック釉で春の到来を予感させる色彩と質感に仕上げました。
桜やポピー、ラナンキュラスなどを合わせて、命の芽吹きを満喫したくなる器です。

まるで澄んだ湖面に光が輝くような、透明感にあふれる器。雪や氷が溶けると再び水が流れはじめ、草木や花が芽吹き、世界が色づいてきます。純白の磁器に青、緑、紫の釉薬を組み合わせることで、日差しを受けたみずみずしい植物の色を映し出しました。 パンジーやゼンマイなど、湖畔をイメージした花やグリーンがよく似合います。

春の山から流れる雪解けの水に着想を得た「水見」コレクション。 朝の光によって雪と氷がゆっくりと溶け、再び流れる新しい生命の始まりを、純白の磁器に緑と白の釉薬で象徴しています。みずみずしいチューリップやアオモジなど春の枝をいけるのにぴったりです。

「夏祭り」というテーマのもと、ヨーヨー、金魚、蛍など、日本の夏の風物詩を映したSummerコレクション。色調はより明るく、ビビッドなコントラストで、 遊び心にあふれる器が完成しました。夏の暑さに負けない鮮やかなアンスリウムやデルフィニウムなどをいけて、楽しいシーンを家の中でも再現してみては。

色とりどりの水ヨーヨーは、いつまでも心に残る子供のころの楽しい思い出が詰まっているもの。ピーチピンク、ピンク、オレンジ、アクアブルー、ペールグリーン、ピンクパープルなど、心躍る多彩な色を重ね合わせることで、単色では出すことのできない透明感と深みのある色を生み出しています。

夏祭りでおなじみの金魚すくいがモチーフの「金魚の尾巴」は、水の中で淡い光を湛えて揺れる尾びれや、色鮮やかな金魚の模様を、半透明や白、赤、紫、オレンジの釉薬をかけ分けて表現。水深とともに変化するようなブルーのグラデーションが涼を運びます。デルフィニウムなど、夏が旬の花が映えます。

小さな高台から立ち上がるモダンなフォルムに、深遠な宇宙のような紺から青へのグラデーションに、祭りが終わった後の静寂を感じるコレクション。人混みの喧騒から一転、虫の鳴き声だけが聞こえる静かな里山で、蛍が暗闇に光を放ち、見上げればはてしなく広がる星空——そんな情景を、青い土にブルー、グレー、イエロー、グリーンなどの釉薬が生み出します。