最先端の設備がかなえる、花のある世界への夢
センティア/ 富山県
- チューリップ農家には「球根生産」と「切花生産」があり、富山県は球根産地として広く知られています。同県砺波市にあるセンティアもその一軒でしたが、25年ほど前からチューリップの切花生産をスタート。オランダから品種も栽培技術もいち早く最新を取り入れ、今では国内トップクラスの品質と生産量を誇ります。
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- オランダ式の最新設備と栽培技術をいち早く導入 センティアのハウスに入ると、花農家では耳慣れない機械音が響いています。普通の花農家では人が移動しながら採花しますが、センティアではオランダ式の最新オートメーション設備を取り入れ、花を採る人のところへ機械が花を運んでくるのです。このオランダ式の最新設備や栽培技術を取り入れた花栽培は、センティアの最大の特長です。
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代表の伊藤さんは父親から農家を継ぐことを決意し、大学卒業後すぐにチューリップの本拠地であるオランダへ。ここまでは「チューリップ農家としてはよくある話」だそうですが、伊藤さんは自ら希望して1年の予定を2年半に延長。これが、今のセンティアへつながる大きな道筋を作りました。「1年やったら感心だけして、『オランダ式は確かにすごいけど、日本ではずっとこの方法やし』って従来の方法を続けていたと思いますわ。1年間を2回経験して、自分の畑で具体的に実行するイメージを持てたのは大きかったですね」。帰国後すぐに取り組んだのは、地植えから「ボックス栽培」への切り替え。長年悩まされてきた連作障害が無く、可動式テーブルにボックスを載せて植え込みをするため効率が上がり、出荷本数が大幅に伸びました。
- お客様の手元できちんと開くように計算された切り前
- 常に25種類以上を出荷する品種の豊富さ、色ノリの良さを誇るセンティアのチューリップ。もうひとつの魅力が“お客様のもとできちんと開くように計算された切り前”です。自宅で飾っているときもめまぐるしく表情を変えるチューリップは、畑で切るタイミング(切り前)が特に重要な花。硬い蕾で採花するとお客様の手元で咲かなかったり、花がゆるんでから切っていては花屋に着いた時点で開ききってしまったり。すべての花をベストタイミングで切る為に、センティアでは一日中採花。効率的に作業ができる最新設備のおかげでプラスアルファの手間をかけることができ、品質の高いチューリップが生み出されているのです。
- 規模を拡大し続ける理由
- 昨年にオートメーションを設備を取り入れてから、年間出荷量は80万本から110万本へ増加。出荷本数を伸ばし、生産規模を拡大することは伊藤さんの大きなこだわりです。その根底にあるのは「花のある世の中は絶対いい世の中や!」という想い。「その為には、まずは花を手にとってもらうこと。“出回る数は少ないけれどすごくいい花”というのもありますけど、チューリップはもっと気軽に飾ってもらう花。それなら品質の良さは当たり前で、手頃な価格で、たくさんの店にある程度の数量が入荷していないといけない。品質を保ちながら生産量を増やし、かつ価格を抑えることは農家の使命やと思っています」
(取材:2018年12月)
PRODUCER’S DATA
株式会社センティア
(富山県砺波市)
球根生産では50 年以上の歴史を持つ。規制緩和でオランダ産球根が大量に輸入されるようになったタイミングで、輸入が少ない切花チューリップの生産を開始。代表の伊藤仁嗣(ひとし)さんがオランダで培った人脈でいち早く輸入する最新品種、オリジナル品種など多彩なラインナップで楽しませてくれる。最先端の設備や栽培技術を取り入れることで、連作障害の無い土作りや高品質なチューリップの安定出荷を実現し、花き業界で高い信頼を得ている。
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