CHAJINさん、
スイートピーの魅力って何でしょう?
名前の由来は、_お茶目な花をいける人_。その名の通り、シンプルなのにどこかポップな花いけに多くのファンがいるフラワーアーティストのCHAJINさん。穏やかで楽しい人柄で、花教室も大人気です。鎌倉にあるCHAJINさんのアトリエで、スイートピーの魅力についてお話しいただきました。
身近にある器と花のさりげない組み合わせ
CHAJINさんの花いけは、一見さりげないのです。使う花の本数は多くなく、身近にある器が使われていて、すぐにまねしてみたくなります。
けれども花の組み合わせに目新しさがあったり、器とのリンクに遊び心があったり。花に慣れ親しんでいる人ほど、さりげなくもオリジナリティが光る花いけに新鮮な驚きを覚えます。
花いけはプロレス!?
CHAJINさんが大真面目に語るのが、「花いけは、プロレス」論。「言葉だけ聞くと、クレイジーと思われるかもしれないけど(笑)。花いけって花が主役のように見えるけど、器という“ 受け”があるからこそ花が輝く。ここに通じるところがあって、プロレスの試合では対戦相手の得意技を甘んじて受けるんです。
たとえばラリアートという技を回転して受けることで、お客さんは『なんて凄い技だ!』と沸くわけです。二人の共同作業で試合を作り上げているんですね。花と器も協力しあってひとつの風景を作る、この相互関係が大切なんです」
きっかけは雑貨が好きだったら
「大学生の頃が雑貨ブームで、一人暮らしの部屋にお皿やグラスを毎週ひとつずつ買い集めるような学生でした。その頃雑誌で目にしたのが、アラジンという赤いチューリップをガラスジャグにいけたスタイリング。まねしたくて、アラジンを探して花屋に足を踏み入れたのが始まりです。
季節が合わず結局アラジンは買えなかったけど、花屋に通っては小さな部屋のあちこちで雑貨に花をいけるようになって。花を飾るって楽しいなと思うようになりました」
スイートピーに通じる、仕事のスタンス
「若い頃は少なからず自己主張をしたい気持ちもあったけど、今は陰の立役者的な楚々とした花に目が向くようになりました。スイートピーは主役の素養もあるのに、脇で主役を引き立てて彩りを加える、一歩引いた存在感が好きですね。僕もそうありたい、みたいな(笑)」。
そんな風に話すCHAJINさんの仕事のスタンスも、まさしくスイートピーのよう。たとえば、花教室ではいけ方を伝えるようなことはありません。
「技術が先行するとそれぞれの個性が隠れてしまうので、指導するというよりは、いけたいものをいけられるようにするお手伝いさん的な立ち位置ですね」。花教室では生徒さんを、店舗のディスプレイでは空間を、花屋のときはお客様を。自身の個性を強烈に押し出すのではなく、主役を引き立てそっと彩りを添える。
スイートピーのように優しいスタイルが、長きに渡り支持を受ける秘密のようです。
(取材:2017年11月)
- CHAJIN(チャジン) Profile
フラワーアーティスト。
ORIGINAL FLOWER STYLE CHAJIN 主宰。
雑誌・広告の花いけをはじめ、店舗や温泉宿のディスプレイなどを行う。鎌倉のアトリエのほか、都内近郊のカルチャーセンターで開催している花教室も人気。『きょうの花活け』(誠文堂新光社刊)ほか著書多数。紅茶好きでプロレス好きで愛猫家。鎌倉在住。