若手グループが作る良質なバラ
前橋バラ組合/群馬県
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2018.04.01 UP
日本百名山のひとつ、赤城山を間近に望む群馬県前橋市。
雄大な自然に抱かれ、農業で発展してきた地域です。「前橋バラ組合」は赤城山の麓に圃場を構え、10組のバラ農家が共同で生産・出荷を行っています。 -
- 農林水産大臣賞を2年連続受賞
日本屈指の品質を誇るバラ - 前橋バラ組合のバラは、良質です。日本ばら切花品評会では、最高賞である農林水産大臣賞を2年連続で受賞。青山フラワーマーケットが選び抜いたバラ「スペシャルローズ」にも、前橋バラ組合の「ブリッツ+」は選ばれました。日を追うごとに色や咲き姿が変化し、10日目を迎えてもなお、香りゆたか。最後まで咲き切る美しさは、誰にでも作りだせるものではありません。日本屈指の品質を誇るバラはどのような環境で作られているのでしょうか。
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- 複数の農家が集まる「バラ団地」
良き仲間でもあり、良きライバル - 前橋バラ組合の圃場は、農業地帯である赤城山の南麓にあります。ひとつの敷地に複数の農家がずらりと軒を連ねるスタイルは珍しく、別名「バラ団地」。各々のハウスで採花したばかりのバラを抱えて共同の作業場へやって来ては、居合わせたメンバーで談笑が始まります。 一人で生産に取り組む農家も多い中、仲間同士の和気藹々とした雰囲気は同業者から羨ましがられることも多いとか。「一人だと自分が関心のある方向にばかり目が向きがちですが、近くに仲間がいると求めている以外の情報も自然と入ってくるので飽きませんね。仲間でもあり、良きライバルでもあり。いい刺激をもらっています」と現組合長の吉田さんは話します。
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- 革新的な栽培法
プランターで育てる「少量培地」 - 生産者個人ではなく、「前橋バラ組合のバラ」を作りあげるため、一品種は一農家で作り品質を一定にする、一品種100坪で生産量を安定させる、第三者の客観的な視点で出荷する花を選別する、など仕組み作りが徹底されています。一番のこだわりは土で育てるということ。バラ業界ではロックウールという人工培地を用いた栽培法も多く採用されていますが、前橋バラ組合では土が持つパワーを利用して、バラが本来持っている良さを損なわない育て方を重視しています。そして革新的なのが、「少量培地(しょうりょうばいち)」という生産方法です。なんと一般的なプランターに4株が植えられ、非常に少ない土で栽培されています。「もともとは地植えをしていましたが、植え替え時期はトラクターを入れて、徹夜で熱湯消毒をして…と大変な作業でした。プランターなら植え替えも楽になって効率化され、病気の蔓延を防げるメリットもあります」
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- 仕組み作りとチームワークが
日本屈指の品質を生み出す - 昭和50年代からバラ生産をはじめた前橋バラ組合。数年前に世代交代をし、現在のメンバーは全員が30歳・40歳台の若手中心で構成されていることも大きな特徴です。「たとえば新しい機械を導入するときも、若手中心だと長いスパンで見通しを立てて前向きに話ができるからいいですね」と話します。誰かが突出して目立つのではなく、お互いに協力し合ってグループとして品質を上げる努力や改善を重ねている前橋バラ組合。そうして辿り着いた仕組み作りとチームワークの良さが、日本屈指の品質の高いバラを生み出しているようです。
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