豊富な品目・品種の球根を栽培
ユナイテッドフラワーファーム/ 神奈川県
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2018.01.09 UP
一年に一度、冬と春の間のわずかな期間だけ楽しめる花があります。ぷっくりとした根からにょきっと茎が伸びた姿がキュートな“球根” の花々です。そんな球根類をメインに生産されているのが、神奈川県平塚市にある「ユナイテッドフラワーファーム」さん。未知なる球根生産の裏側をご紹介します。 - 約30 品種をオランダから直輸入
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- メインは、ヒヤシンスやチューリップ、ムスカリといった球根の花。生産を担う平野さんが本格的に球根の出荷を始めたのは5 年前のことだといいます。「それまでは球根の花を切花用に生産していて、根つきはたまに遊びで出すくらい」だったそうですが、その“遊び” に目を留めたのが、青山フラワーマーケットの切花バイヤーでした。球根のままの出荷を勧められ、それ以来球根としての出荷にシフト。今では年間12~13 万球を仕入れ、生産を行っています。ムスカリは5 万球、チューリップは6 万球と仕入れの半数を占めているそうです。 国内で流通する球根のほとんどはオランダ産。平野さんは、仲介業者を通さずオランダから直接輸入しているといいます。ユナイテッドフラワーファームで育てているのは、主にムスカリ・チューリップ・ヒヤシンス・シラーといった6 品目を、合計およそ30 品種。チューリップは、花壇や切花でおなじみの交配種と、小ささが人気の原種系の2 種類を栽培していらっしゃいます。
- 気温と水で芽吹かせる この日見せていただいたのは、ムスカリのハウス。
「今このハウスにあるのは、8 月から1 ヶ月冷蔵処理をして9 月に植えたもの。植えてから2 ~ 3 ヶ月ほどで花が咲いて、花ふたつ分くらいの丈に成長したら出荷しています」
球根花は、冬は冷たい土中で冬眠し暖かくなり始めた春に芽吹きます。球根を一度冷蔵庫で寝かせる“冷蔵処理”を行うことで、室内に移したとき寒暖差で花が咲くのです。
「小さな蕾もきちんと咲きますよ。買ってからすぐ土に植えれば土耕でも育つし、生育環境がよければ来年も咲くかもしれません」
鉢で育てた球根を掘り出して出荷している生産者さんもいらっしゃいますが、平野さんは水耕栽培で生産しています。水耕栽培は水が命。水が切れたり腐ることがないよう、その管理には細心の注意を払っているそうです。そして、店頭でユナイテッドフラワーファームの球根を見かけたら、その根(ヒゲ)にもご注目ください。丁寧に洗われた綺麗な根が伸びているはず。そこには平野さんの細やかな手間が伺えます。
地球温暖化によってオランダも年々気温が上がり、球根生産にも影響が出始めているそうです。今でさえほんの一瞬しか出回らない球根に、いつかは出合えなくなってしまうのかもしれません。新しい年の始まりに、芽吹く姿で元気を与えてくれる球根花。今年もその愛らしい姿をたっぷり楽しみましょう。