好きで、楽しんで、作るばら

Rose Farm KEIJI/ 滋賀県


2018.10.01 UP

多くのフローリストが好きなばらとして名前を挙げる、ローズファームケイジの「わばら」。ばら作家の國枝啓司さんが手がけるオリジナル品種は、可憐でありながら見る者を惹きつけてやみません。その不思議な引力の秘密を探しに、滋賀県守山市にある農園を訪ねました。
生産者レポート画像
花の近くにいる人が、一番幸せであるように
透き通るような花びらが、ゆったりと重なり合う花。その重みでしなう、たおやかな茎。風にそよぐ軽やかな葉。顔を近づけたときに初めて花をくすぐる、やわらかな香り。ローズファームケイジの「わばら」は、何かが突出して個性を主張するのではなく、日々の風景になじむ調和のとれた美しさがあります。家で飾ってもらえるように、花の近くにいる人が一番幸せであるように―。ばら作家の國枝啓司さんは、そんな想いを込めてばら作りに取り組んでいます。

啓司さんが育種を始めたのは、実家のばら園で生産に携わっていた20 代の頃。海外品種の栽培が主流であった当時、「日本の風土に合ったばらを作りたい」と思ったことがきっかけだったそう。そこから思い描いた通りのばらが誕生するまでは25 年!「振り返ってみて長いなぁと思ったことはないけど、始めた頃はなかなか思い通りの花が咲かへんから自分には才能がないんやと思ってたなぁ(笑)」(啓司さん)。

自然に近い環境を作ったら、あとは「ばら任せ」
農園に足を踏み入れると、ふかふかとした土の感触が足元をとらえます。この土こそがローズファームケイジのばら栽培の最大の特長。「うちの栽培は、ばら任せ。ばらは自分でちゃんと考えて生きているからね。自然に沿った、循環する土作りをするのが僕の仕事」と啓司さん。近所の山から拾ってくる木くず、落ち葉などの有機物、微生物を入れて土を作ったら、過剰に栄養を与えたり、人間の都合に合わせて操作したりはしません。「病気にも弱いし、生産性も悪いし、生産者としてはかなり変人」と啓司さんは笑います。
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近所の山から木くずや落ち葉を拾ってきて作られる土はまるで森を歩いているような心地よさ。

紫の花「アリッサム」は、ばらの天敵の虫を引き寄せてくれる。過剰な農薬は使わずなるべく自然のもので防除する方法をとり、山で集めてきた木くずからキノコが生える自然のままの農園は虫やカエルものびのび。

自然に近い環境で育てられているから、花と葉のバランスも自然で美しい。てれっとした葉も「わばら」の特長。

常識に捉われず、ばら農家の在り方を考え続ける
そう、ローズファームケイジは花の生産者としては型破りです。長男の健一さんが考える「わばら」のコンセプト設計も、そのひとつ。「もともとバラ農家を継ぐ気はなかった」という健一さんは、大学卒業後に一般企業に勤めた後、起業しようと独立。起業のコンテンツとして着目したのが、父の啓司さんが作る「わばら」でした。「新品種という0から1を生み出す、これ以上細分化できない原点にいることを大切にして、純度の高いもの作りの追求、その中で生まれる哲学を基礎にバラ農家の在り方を考えています」(健一さん)。現在は世界中に生産パートナーを持ち、「WABARA」という形での発信も行われています。

ばら作りに没頭する啓司さん(左)、プロデューサーの視点でローズファームケイジを牽引する健一さん(右)。時には視点の違いで意見が対立することもありますが、「自分が作ったばらが世界中の花屋に並んだら、こんな嬉しいことはないなぁ」という啓司さんの夢は健一さんの加入で現実的に。

4本すべて同じ品種の「雅(みやび)」。咲き進むごとに花色、花形もどんどん変化。花色の変化は切花業界の常識ではマイナスでしたが、健一さんの「変わっていくのがおもしろいやん」の一言で花の価値に。花や農業に関する知識がゼロだったからこそ、ゆたかな化学反応が起きました。

農園の通路は、生産効率を考えれば狭くするのが生産者の常識のところ、この幅広い通路も型破り。「売り物は花だけじゃないと思っています。ばら作りに没頭する父の話もそのひとつで、この通路は父が案内するFarm ツアーを想定して見てもらいやすいようにという意図があります」(健一さん)。

守山駅近くにあるコンセプトショップ「WABARA Cafe」では「わばら」の楽しみ方を提案。

「好きやから作る」ピュアな想いがそのまま花の魅力に
啓司さんが思い描いた通りのばらが誕生したのは、育種を始めてから約25年後だったとか。新品種誕生までには、私たちの想像をはるかに超える歳月を要します。現在「わばら」は約60種。オリジナルだけでブーケにしても美しくなるよう、色のグラデーションを意識して育種しているといいます。バラを切っては手元で束ねて「自分で作ってても、このグラデーションきれいやなぁ思うわ」とにこにこ話す啓司さん。「自分で好きなものしか作らへん。“売れるから”よりも“好きやから”作ってる方が伝わるでしょ?」。ローズファームケイジのファン多しといえど、誰よりも啓司さん本人が好きで、楽しんで作っている。啓司さんが作る「わばら」がピュアな魅力に満ちて、人を惹きつける理由はここにあるようです。


PRODUCER’S DATA

生産者画像

Rose Farm KEIJI /ローズファームケイジ
(滋賀県守山市)

ばら作家の國枝啓司さんが手がける60 種以上のオリジナル品種を「わばら」と銘打ち、「生きたばらをつくる」をコンセプトに流通に合わせた過剰な操作を加えず、自然に則したばらづくりに挑む。現在は国内だけではなく世界中に生産パートナーを持ち「WABARA」という形で発信を行っている。

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