世界を魅了するリシアンサスが生まれる場所

世界を魅了するリシアンサスが生まれる場所

ナカソネリシアンサス

暑い季節でも花もちが良く、1本に数輪の花が付きボリュームがあって華やか―。リシアンサスの長所はたくさんありますが、「日本が世界をリードしている花」という点は特にお伝えしたいこと。世界に先駆けて品種改良が進み、現在流通している品種のほとんどが日本で生まれたものです。リシアンサス育種の第一人者、中曽根健さんをたずねて長野県千曲市力石に訪れました。

日本が世界をリードする花、リシアンサス
リシアンサスの野生種がアメリカのテキサス州から日本に伝わった1930年代当初、花は紫色の一重咲きのみでした。それが今では、他の花では見ないようなカラーバリエーションに、凛とした一重から豪華な八重と咲き方もさまざま。品種数は300を超え、多彩さがリシアンサスの魅力となりました。この進化を支えているのが日本の育種技術。新しい植物は欧米生まれが多い中、日本で開発され、海外からも注目される貴重な品目です。
フリンジ咲きの大輪「コサージュ」の生みの親、中曽根健さん
長野県千曲市の力石地区でリシアンサス栽培と育種に取り組む中曽根健さんは、フリンジ咲きの大輪で人気の「コサージュ」シリーズの生みの親。フリルのように波打つ花弁、大輪の花、180°以上に開く立体感でリシアンサスのイメージを一新し、花業界に衝撃を与えました。「コサージュ」シリーズは、栽培に高い技術を要する為に生産できる人も限られた、リシアンサスの中でも別格です。
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手間暇を惜しまず、理想を追い求める
次はどんな品種を生み出してくれるのだろう?と、国内外から期待と注目を集める中曽根さん。新品種が次々に生まれるのかと思いきや、品種開発の圃場には毎年900くらいの掛け合わせを植え、品種として誕生するのはわずか4種類だとか。中曽根さんですら「毎年、無駄に植えて空回りしていますよ」と笑うほど、リシアンサスの育種は非常に多くの手間と年月を要します。まずリシアンサスは開花までに約10カ月必要で、チャンスは一年に一度。さらに理想とする花が生まれても、その種から同じ色が咲くわけではなく、また一年かけてその親を育てて掛け合わせて種を作ります。「最初はいろいろな色が出るので試験に3年、100%揃うまでに早くて6年、通常10年はかかります。コサージュも誕生まで10年以上を費やしました。効率は悪いけど、予想外のものが出てくる面白さがあってやめられないですね」
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リシアンサス一筋30年
今も尚、誰よりもリシアンサスの虜!
リシアンサスの栽培と育種一筋で約30年。就農前はデザイナーを目指して絵の勉強をしていたそうです。「育種には絵の具のように予想通りにはいかない楽しさがあります。淡い色が美しいと褒めていただく『NFホノピンク(※)』も親は不恰好でね。きれいな親からきれいな子が生まれるわけではないんですよ」と楽しそうに話してくれる中曽根さん。今でも純粋にリシアンサスの虜だとわかります。「バラは4,000年の歴史がありますが、リシアンサスは約60年とまだ始まったばかり。これからもっともっと新しい色を生み出していけると思います。今狙っているのは薄い色。将来的には黒っぽいものも生み出したいし、模様が入ったものも増やしたいですね」。さらなる驚きを求めて、中曽根さんのチャレンジはまだまだ続きます。

(※)NFホノピンクの「NF」とは、「中曽根系フリンジ」の略。中曽根さん開発のフリンジ咲き品種のこと。
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PRODUCER'S
DATA

ナカソネリシアンサス(長野県千曲市)
中曽根健 (NAKASONE KEN)

生産者地図

千曲市力石の花き農家に生まれ、24歳から家業である花の栽培・育種に携わる。2003年に「コサージュ」シリーズを発表。リシアンサス育種家としてその名を世界中に広く知られ、展示会を行う夏には国内外から市場関係者、生産者、種苗会社が圃場を訪れる。「IFEX 日本フラワー大賞2015」グランプリ(コサージュラベンダー)受賞。
MPS認証を取得し、環境にも配慮した花き栽培に取り組む。